息子のミリタリーブログ

スリングライフルとかの自作飛び道具を作るブログです。数年前に有閑大学生から社畜にジョブチェンジして最近ルアーフィッシングにどハマリしたので性能低下中 ツイッター→https://twitter.com/model22ra1

更新100回越えてたことだし今まで作ったスリングライフルを振り返ってみる


デザイン画とか実寸のパーツとか研究成果とか書いた「息子の黒歴史ノート(工業)」も、もう4冊目になりました。
私はこのブログを始める前からスリングライフルを作っていたのですが、こういう機会でもないと公開することはないだろうってことで、全部公開します。

※注意 濃厚な自分語り





Model1 自転車ブレーキ利用オープン式

↑残骸
記念すべき第一作目。2007年11月〜2008年2月の間に作ったことは確かだが、記憶も記録も残っていない。冬用ジャケットを着てホームセンタ―に材料を買いに行った記憶があるので、この時期なのは間違いがない。
完成品の見た目は中世のクロスボウに近く、構造から何から某サイトに影響を受けて作り始めたことが丸わかりである。
パイプの根本にグリップとなる木(祖父母が四国でお遍路したときの杖)を取り付け、そこに廃車になったママチャリからブレーキを移植。ただの丸棒ではなく霊験あらたか(?)な杖を使うあたり、この頃からパーツの美しさへのこだわりが見られる。
ヨークとして先端にU字の鉄棒を差し込んでプレートを通しナットで固定。
ゴムは径20mmくらいのぶっといチューブゴム。
一回コッキングしただけで、U字の鉄棒を支えるプレートがへし曲がり、ヨークがぐらつき始めた。またブレーキの取り付け方もまずく、ブレーキワイヤの関係で握り続けるのにとんでもない握力を要した。もちろんクソガキだった私にそんな握力は無いので暴発の嵐であった。
ヨークがぐらついて当たらないのでもっぱら庭石を散弾のように撃っていた。的は物干し竿についてる洗濯バサミとか空き缶。特に洗濯バサミは小石でも当たるとはじけ飛ぶので楽しかった。このころの私はまごうことなくクソガキであった。




Model2 SSG(6.5mmレール式木製スリングピストル)

記念すべきレール式一作目。SSGはスリングショットガンの意。「ショットガン」で区切らず「ガン」で区切る。
フレームは安物のワンバイで、爪で軽く押すだけで傷がつく程度なので加工は楽だが強度が無く、ネジ山はすぐボロボロになりへし折れることも多々あった。
成型後に全体をバーナーで焼き、磨いて木目を浮き上がらせ廊下用のワックスを塗って仕上げた。
ゴムは2連の14番輪ゴムを使っていたが、何本だったかは失念。加速距離は15㎝程度。6.5mmのダボを使ってパワーは水入り缶片面、空缶をへこます程度。
5mからでもA4に収まらない精度だったが、「そんなもんか」と対して問題には感じなかった。
「精度ならエアガンがあるし、エアガンにできないことをやろう」と、この頃から「狙撃」より「標的の破壊」を楽しんでいたという事だ。クソガキである。

前部連結プレートは片持ちで、後部は上からボルト留め。
この頃はネジ頭を使うレール留め手法を編み出しておらず、某氏に倣って溝を掘ってレールを差し込んでいた。
レール上のトリガー溝はダイヤモンドヤスリ一本で5時間くらいかけて作った。




Model3 SSK(6.5mmレール式木製スリングカービン)

3連の14番輪ゴムを使い、加速距離20㎝。パワーは水缶1つ貫通といったところ。
独特の造形から「イルカ」とか呼ばれていた。
このマズル付近の造形はフレームをどうにかしてスリム化しようと苦心した末に作ったもの。グリップは薄い木でもどうにか持ちやすくしようとしたものである。
相変わらず連結プレートは片持ち。精度も悪い。
下フレーム先端がへし折れたので、現在は実家の部屋に飾ってある。




Model4 AMS (7mmレール式木製スリングライフル)

↑これの左
AMSはアンチマテリアルスリングの意。「口径を7mmにして全体伸ばしたらすげー強かった」というクソガキ丸出しの命名理由で、パワーも今から見るとショボイの一言。
加速距離40cm程度で、3連16番輪ゴム×16本で7mmダボを飛ばしていた。パワーは水缶1.5個ほど。
相変わらずワンバイの片持ち。しかもこれは溝の工作精度が悪く、下フレームは別パーツに連結プレートを付けていたのでパカパカした。レールがパカパカするため精度が悪く、4mで90mm。10m先の空き缶にはぜったい当たらない。しかし当時私がスリングライフルを使うときはほぼ接射、もしくは4m程度しか離れて撃つことはなかったので問題なかった。理由は前述のとおり。
これは最初サムホールストックだったが、何か気に入らずサムホール部分を切り落とし、さらに「高級感を出す」とかでグリップに巻きつけていたタコ糸を取っ払ったり、スコープ取付用の穴を上フレームに開けたりと2回ほど改良している。




Model5  AMS Premium (8mmレール式木製スリングライフル)

プレミアムというのは当時の技術力の集大成として作ったからだ。
加速距離はModel4と同じで、口径を8mmに置き換えストックをSVDっぽい造形にした。共産圏の銃はこれを作る以前から好きだったが、デザインに取り入れたのはこれが初めて。しかしそれは上っ面をまねただけで、設計思想はまだアカに染まっていなかった。
フレームをガチガチに固定したのでModel4のようにパカパカしなくなり精度も向上。
パワーは水缶2缶程度で、庭の畑のしなびた大根を撃ち抜けたとか言って喜んでいた記憶がある。
友人の誕生日プレゼントとして贈呈。写真が残ってなかったので先日撮って送ってもらった。




Model6 MSR(10mmレール式木製スリングライフル)

写真もデザイン画も残ってないので、同じ構造の異口径のデザイン画。名前が違うのもそのため。

初めて10mmダボを使用したスリングライフル。MSRとはマグナムスリングライフルの意。アンチマテリアルと命名した後にマグナムと付けたのでアンチマテリアルの格が下がったのだが、まあ、クソガキだったので仕方ない。
10mmの強靭なゴムに耐えるため、厚いツーバイでフレームを作ったため、フレームの強度が上がり直銃床にしなくてもよくなった。ストックを腹に当ててのコッキングはフレームに強度を要するのでワンバイで曲銃床だとグリップ部分でへし折れるのだ(経験済み)
加速距離やゴムはModel4と同じ。パワーは水入り缶詰缶片面というところ。
アサイトを左寄りに取り付けてしまったため、4mでも着弾がずれる残念なライフルであった。「穴を開け直すとみっともない」という理由から、作って1か月ほどでパーツ取りに回された。




Model7 棒突き型連発式スリングピストル

連発式を目指した2作目。1作目はスリングショットではないためナンバリングには入れなかった。
7mmダボを閉鎖機と弾受けにテントのペグめいた棒を使うことで連発式を実現しようと考えたが、ダボの形状を考えに入れてなかったため重大な欠陥があった。


気付いたのは実際にこの状態でジャムってからで、ご丁寧なことにマガジン内部は単純な長方形でなくダボの凸型に合わせてつくってあったため、逆方向に装填することも別形状の弾を使うこともできなかった。多分私が作った作品の中で一番寿命が短かったのがコレ。
作り直したら一応連発式にはなるが、弾受けが重すぎ摩擦がひどすぎでゴムの力をほとんどドブに捨てるような構造である。



↑一作目 下フレームにバットめいた板を取り付け、バネ仕掛けで振る。最初期のころの作品で閉鎖も全く考えていない。
デザインはもちろんマウザーのパクリである。
上下の連結が強度不足でレールが逆テーパーになっており、弾が詰まる。
もちろん連発もできない。しかし、これはバネ仕掛けで金属板を振って雑草を切ることができたので、Model7よりは使い道があった。




Model8 Master Hunter(8mmレール式木製スリングライフル)

改めて数え直してみると「Model6」じゃなくて「Model8」だった。実を言うとこれも連発式を目指していたが、溝を作る加工技術が未熟だったため単発にした。やらなくてよかったと思う。

弾倉の閉鎖に丸棒を用いる方式で、フックとゴムの間に弾が入る。発射と同時に閉鎖を行うが、バネが弱いと閉鎖が間に合わない可能性があり、またゴムを100%引けないため威力低下が起こる。


現在、フレームにレールを取り付けるときはフレームからネジ頭を出してそれにM字レールの底を噛ませるが、その発想はまさにこのModel8から生まれた。この方法でフレームとレールを取り付けている人はModel8に足向けて寝ないように。(中国地方の方向ですよ!)
精度は前も書いたが10mで70mm。レールとフレームをガチガチに固定したのがかなり効いた。
Model8は一度延長フレームを作ったことがあって、これに近い形になった。ここまで装飾品は付いていなかったが。

加速距離増大で初速を上げることが目的だったがあまり上がった実感はなく、弾速計を持っていなかったので上がったのかどうかを詳しい数値で知ることもできなかった。劇的な変化があればそのままにするところだが効果が目に見えないとただ取り回しを悪くしただけである。よってすぐに戻した。




Model9 Steel Arms (7・8mm レール式 鉄製スリングライフル)

「妹の自由研究」という体で協力させて作った初の角パイプ使用スリングライフル。
トリガー自体はまだT字ステーを削り出して作っていたが、現在の角パイプ使用スリングライフルに必要な発想「角パイプの一辺を削ってパーツをはめ込む」を得た。Model9ではストックとフレームの結合にその加工法が使われた。
これを思いつく前はストック側を溝上に切り込んで結合する方法を取ったが、作ってみると加工が面倒臭く強度にも欠けるものだった。本当にこれを思いついてよかった。
さらに、鉄製角パイプを使ったことで上フレーム+レールの3点保持ができるようになったため、上レールが必要なくなり上下幅が抑えられた。
また、私がネット上に作品を公開したりブログを始めたりしたのはコレの完成後である。
なぜなら「こんな誰かが作ったような構造のものネットに上げれないよ」と謙虚に構えていたからだ。
ようやくオリジナリティを発揮できた気がするModel9の完成と友達に「ブログやってみたら?」と言われたのが重なって公開に踏み切った。




Model10 Pocket Mortar(8mmレール式スリングピストル)

フラットバーを使って機関部を作った初の作品。これも私のスリングライフル開発史において大きな出来事であった。
人に贈呈する目的で作ったので、詳しいデータは取れていない。
10mで空き缶に当たりはするようだ。(必中とは言ってない)




Model11 10mmレール式鉄製スリングライフル

スリングピストル用の機関部構造をそのまま流用したため、ライフルサイズのゴムの張力によってトリガープルが増大し、トリガーに太い棒をひっかけて両手で引かなければ撃てない代物になった。
これを調整によってなんとかしようとし、シアの切欠きが削れすぎフックが前傾、上の隙間から弾受けが逃げるようになった。
よってすぐパーツ取り用に。
このライフルのせいで「雑に作ったら動かないけど、手間をかけて完璧に調整すればちゃんと動くよ」という作りが大嫌いになった。以降私のAK好きと混ざり合って「単純、堅牢、調整不要」のロシア的設計思想を強める原因となる。
「雑に作ってもちゃんと動き、完璧に作ればもっとよく動く」「バカでも作れる」「壊れない」というのが工業製品にとって正しい姿だと思うようになったわけだ。「バカでも作れる」というのは私がそうだし工作機械も持っていないから複雑な構造は作れないということ。木製部品のカラーリングに関してはModel10の頃から共産圏的だし、デザインに至ってはModel5から、共産銃好きは小学生のときAK74を知ってからだ。




Model12 Red Talon(10mmレール式スリングライフル)


角パイプフレームのレール式スリングライフルの礎を築いたと言ってもいい不朽の名作。
拳銃でいえばM1911、機関銃でいえばM2である。
性能に関してはもう散々書いているのでここでは割愛する。

後のレール式スリングライフルはすべてModel12の構造、(私が勝手に命名した)タロン型構造を取る。
なんといっても基本が完成しているので後は細かい改良をするしかない。まあそれが大変なわけだが。
知っている人は知っているが、レッドタロンはもともと8mm差し込みダボを使う連発式として作っていた。それから紆余屈折あり10mm単発になったわけだ。
また、上フレームも角パイプではなくL字アングルで作ってスリム化を図る予定だった。現在やってないってことはどれもダメだったという事。





一番下はS2Sのエアコッキングガンのマガジン。マガジンの上にあるレバーを弾受けが押し弾が上昇、発射で弾が取り除かれるとスプリングで閉鎖、という動作を考えていた。まともに作動する予感があまりしなかったので、設計ミスで口径が10mmになったのを機に方針転換した。今から考えると英断であった。




こっちは完成後に考えたチューブマガジンの自動給弾。
一見よさそうに見えるが、「フックのリバウンド問題」が対処できなさそうだったし、技術も未熟だったのでやめた。
フックが発射後お行儀よく倒れたままになっていれば成立する機構なのだが、実際にはフックも弾と同程度の速度をもって運動するので、かなりのエネルギーで機関部内壁に激突してバウンドを繰り返し、鉄製の内壁をへこませたりメタルロックの接着を剥がしたりする。これが「フックのリバウンド問題」で、フックと連動させるマガジン閉鎖機構には必ずこれがついて回る。
強力なバネで倒れた状態にするにしても、前述のとおり高エネルギーなのでバウンドが起こらないとも限らないし、一度でもバウンドが起これば多重給弾になる。バネが強いのでコッキングが大変。フックの速度がさらに早まりパーツへのダメージが増大。と考えれば考えるほどネガティブな部分が多い機構であった。
この頃はもう設計思想が共産圏(単純・堅牢・調整不要)だったので、やはりこんな不安要素の多い機構は作らなかった。




Model13 スリングショットガン

弾受けにホースを使ってどんな弾でも装填できるようにしたモデル。
最初はホースに切り込みを入れて中央にフックを掛ける構造だったが、ホースを避けるように左右にフックを配置し直した。
そして製作開始前に「これって連発式にできるんじゃない?」という悪魔のささやきを聞いて製作中止。




Model14 SDH Auto loader(11mm連発式スリングライフル)


Model13で思いついたSDH(サイドダブルフック)方式によって弾受けに筒状の物を使えるようになったことで「じゃあ弾受けで給弾を制御しよう」ということになった。
筒状弾受けの後端が竹槍めいた形になっており、レール上の弾を一旦マガジン内に押し込め、コッキング完了と同時にまたせり出させるという機構であった。お察しの通りかなり不安定な作動で、弾がマガジン内に入らない事態が頻発したため製作中止。




Model15 Magnum80 (150cm加速10mmスリングライフル)

加速距離を150cmまで伸ばすことで初速80mpsを目指したライフル。全長は2m近くある。
輪ゴムの使用・ゴム量の不足・上フレームの強度不足で中央付近が垂れて内径が狭まる・冬に測定等々の理由によって初速は50mps程度しか出ず、あえなくパーツ取りに回された。



Model16 Sterling (オープン式スリングライフル)

16作目ってことで、M16をイメージしたデザインにした。
「勉強のために一度ちゃんとしたオープン式作っておくか」程度で作ったのと、デザインのせいで今では全く使っていない。
いい勉強になりました。ありがとう。




Model17 Comet (8mmレール式スリングライフル)

スターリングを作って、「やっぱり俺はレール式だな」と思ったのと、レッドタロンを改良して後装式にしようという計画が持ち上がった中で、「原点回帰」「前装式開発の締めくくり」として、口径8mmでこれまで培ってきた技術の集大成を作った。
手持ち木材の枯渇から新しい木材をさがさなくてはいけなくなり、あまり高級な木を買えない私は合板に目を付けた。
Vz61(ガスガン)用にアガチス単板積層でストックを作った経験とLCT製AK74から、「合板って意外と強度あるんだな」と思い、これを使うことにしたのだ。実際に使ってみると私の弱点であった「複雑な溝掘りができない」という点を克服することができ、虎柄縞模様が美しかったため以後木製部品はラワン合板で作るようになった。
接着に時間がかかるのが難点であるため、今後はこれを解消せねばなるまい。


Model5を贈った友人にまた贈呈予定となっている。信頼に足る人物なので贈呈には不安がない。
「原点回帰」「前装式の集大成」として作ったのだから、古臭かったりキャラが薄く感じるのはしょうがない。
パワーが弱くてそれなりに精度がよくて弾も安いことが売りだったが、Model21はこれの完全上位互換(予定)であるから太刀打ちできない。



Model18 11mm連発式スリングライフル

これの上側

いつものへっぽこ連発式シリーズ。
これの設計中にベンガルの閉鎖機構を思いつき、デザイン画とナンバリングだけとなった。
デザイン画書いて機構の設計してナンバリングしてしまうと、製造してないようなモデルでもナンバリングから外せない。
なんたってModel13のスリングショットガンがこれで、以降のナンバリングがスリングショットガンが入っていること前提で付けられているので、これを除外すると整合性が取れなくなってしまうのだ。




Model19 Bengal (10mm連発式スリングライフル)

これも性能については割愛させていただく。かなり書いたから、もういいでしょって事。
閉鎖機構はフックと完全に分離することで「フックのリバウンド問題」を完璧に回避することに成功し、共産設計思想にも合致するものになった。作動に全く不安要素がなく(パチンコ玉除く)、閉鎖機に掛かる負担もマガジンスプリングのみなので壊れることはほぼない。






構造の発展史(レール式のみ 口径デカくしたり威力アップしたりは含まず。発展要素のない機種はスルー)
Model2 木製レール式スリングライフルの基礎をコレの製作で学ぶ
Model4 初のストック、グリップ製作
Model6 ツーバイ材を用いた本格的な(ちゃんとした太さの)ストック製作
Model8 ネジ頭を使ったレールの固定(これがないと金属フレームへ移行できなかった)
Model9 鉄角パイプを使ったフレームの考案および角パイプの一辺を削って部品をはめ込む方法の考案・前部連結プレートのボルトを延長しヨークとして使用
Model10 フラットバーを用いた機関部の製作・フック、トリガーの分離・鐙の使用 
Model12 角パイプフレームのスリングライフルの基本構造の完成・フック、シアバー、トリガーの分離 
Model15 セメダインメタルロックを使用した機関部の製作(ボルト本数が劇的に減少。構造の自由度が大幅に上がった)
Model17 合板積層による木製部品の製造(溝を作るのが楽で正確になった)・2本掛けヨークの使用(軽量弾なら2本掛けでも初速と精度に問題がないことの証明)・鐙の取り付け位置の変更(全長の短縮、安全性向上に寄与)
Model12A1 後装式機構の開発(ボルト型のフタ)
Model19  威力低下のないダボ用連発機構の開発・ダボ用固定マガジンの開発